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江戸川乱歩は有名作家な分、ことあるごとにその作品たちが映画化、テレビアニメ化、テレビドラマ化など、メディアミックス化されてきました。その中には、「土曜ワイド劇場」で17年間も放送された『江戸川乱歩の美女シリーズ』という、息の長いシリーズがあります。

このシリーズは、当時著名度の高かった天知茂、北大路欣也、西郷輝彦といった俳優を探偵の明智小五郎役に据えて、シリーズ名通り、美女役に夏樹陽子や萬田久子、由美かおるに代表される名女優達が選ばれています。

「江戸川乱歩の美女シリーズ」の概要や、実際に観た感想など、この記事で紹介していきます。

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「江戸川乱歩の美女シリーズ」、その概要!

『江戸川乱歩の美女シリーズ』は、従来『怪人二十面相』に代表される、子供向け作品の多かったテレビ映像を、大人向けの作品に絞り、更に現代風にアレンジをして映像化したシリーズ作品です。短編小説が原作の場合などをはじめ、殆んど原作の影が無いオリジナル同然の作品もあります。

シリーズ毎に撮られる、名女優たちの官能的な入浴シーンなどのヌード(主に吹き替えとされている)と、ストーリー中盤でのカーチェイス、終盤に死亡したかと思われていた明智小五郎が他人に成りすまして登場し、犯人の前で変装を解く場面、悲劇的なラストシーンが恒例の流れとなっています。

名監督による、当時では珍しい自由奔放な演出が人気で、明智役にカメラに向かわせ喋らせる、登場人物がBGMを指示する、ラストシーンで完全無音のままでエンディングタイトルを流し始めるなど、今なお評価されている部分が目立ちます。

江戸川乱歩原作にはないオリジナル脚本とは!?

前述のように、江戸川乱歩のという名前が付いたシリーズでありながら、観てみたら全く違うストーリーだった、というものがちらほらあります。私が実際に観た北大路欣也版の4作目、「日時計館の美女」は『屋根裏の散歩者』を原作にしていますが、原作は毒を垂らして殺人を犯しますが、作中では屋根裏に潜入するものの、殺人でなく男女の性行為を見てしまいます。

また、原作と違い、女主人が営むペンションに集う客の中に屋根裏に忍び込む者がいるという、時代を感じさせる現代版に改良されています。更に言えば、郷田という名が登場するだけで、原作のように暇を持て余す女装壁のあるスリリングな日常を求めている訳でもありません。

加えて、このように話がオリジナルに書き加えられているので、江戸川乱歩特有のエログロさはありません。地下室や密室殺人などのワードは出るものの、通俗さが漂う原作のような不気味さは皆無です。

サスペンスにこのような言葉は不釣り合いですが、原作の『屋根裏の散歩者』と比べると、格段に爽やかで常識的な映像作品です。原作を知らない、エログロが苦手な方は面白いかもしれませんが、原作とエロ・グロ・ナンセンスを求めている私のような方には、ちょっと物足りないかもしれません。

ちょっと味気ない!?「妖しい稲妻の美女」について

酷評するようで気が引けますが、同じく北大路欣也版の6作目、「妖しい稲妻の美女」は、天知茂版の2作目「浴室の美女」と同じく、『魔術師』が原作です。これだけ江戸川乱歩シリーズが続くとネタが無くなって来たのか、「浴室の美女」をほぼそのままコピーして演じたような作品になっています。

「浴室の美女」は視聴率が高いだけあり、名高い名優さんたちによる豪華な演技と脚本が売りの、力の入った作品になっています。対して「妖しい稲妻の美女」は、稲妻が走り雨が降っている中で踊る美女と明智が出会うシーンからストーリーは動きます。

その後は踊っている美女から事情を聴くものの明智は攫われ、舟からダイビングして犯人に死んだと思わせておいて変装し、最後に犯人が明智の胸の中で悲劇の死を遂げる、という展開です。

まず雷鳴ってるのに何故踊ってるんだと思われると思いますが、この時点で脚本と演出がおかしいことに気付きます。というか踊ってる不審者に話聞きますかね、ちょっと変な人と思って距離開けると思うんですが。

説明でも分かるように、「浴室の美女」と比べて脚本や演出を手掛けた人が変わっているせいか、随分安っぽくチープに見えてしまうのが難点です。『屋根裏の散歩者』や『人間椅子』が映像化出来るなら、『芋虫』とかも出来ると思いますけどね。TPO的に難しいかもしれませんが。

まとめ 

土曜ワイド劇場で放送されていた、「江戸川乱歩の美女シリーズ」についてこの記事では語ってきました。そのことを、ここでまとめます。

①「江戸川乱歩の美女シリーズ」は17年間の放送で、主演の俳優が3度変わった、息の長い作品。

②オリジナル脚本が目立ち、原作の通俗表現を求めている江戸川乱歩ファンには物足りなさもある。

③ストーリーによっては、脚本や演出家が異なる所為か、ちょっと安っぽく見えることもある。

最後の見出しらへんからは批判しているようで申し訳ないですが、江戸川乱歩の通俗小説らしい原作を求めている方には物足りないかもしれませんが、普通にミステリードラマを楽しむ分にはさくっと面白く観れるシリーズと思われます。

DVDBOXも発売されていますので、時間を潰したい、乱歩の映像化作品を観てみたいという方にはピッタリのシリーズだと思われます。

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