皆さんは夕日を眺めているとどんな気持ちになりますか?
「そろそろ仕事が終わって家に帰れる」「夕食の時間だ」など様々な事を思い浮かべてしまいます。施設で生活していると夕暮れになってもあまり関係が無いように思えますが認知症の場合、今から家に帰らなければならない、ご飯を作らなければならないと思ってしまう事がありますこれを夕暮れ症候群と言います。
こちらではそんな夕暮れ症候群に対する対応方法を介護福祉士10年の経験がある私が紹介したいと思います。
子供や家族が気になる夕暮れ症候群
夕暮れ症候群の多くは子供や家族の事が気になります。何故そうなるかと言うと夕暮れは終わりの始まりだからです。
仕事などがおわる時間ではありますが同時に食事や帰宅など次の行動が始まるタイミングでもあります。そのためその時間に活発になる高齢者の方は施設では多く注意しなければならない時間帯でもあります。
何故なら家に帰ろうとするからです。「家に帰ってご飯を作る」「子供が返ってくる迎えに行かなければ」など施設に入る前の生活を思い出し同じようにしようと思ってしまうからです。
子供や家族は居ない?否定的な声掛けは逆効果
そんな夕暮れ症候群ですが昔を思い出しているだけであり既にご家族は居なかったり大きくなっていたりしてお迎えをする必要が無かったり一人暮らしなのでご飯を作る必要が無かったりしますがそれを説明しては絶対にダメです。
何故なら本人はいるもの、あるものと思っているからです。家族や子供がいるのに自分を待っているのにこの人は邪魔をしてくると思われ悪い人となってしまいます。
完全に肯定するわけではありませんが話を合わせて見るようにしましょう。「そうですね、そうしましょう」「急いで家に帰らなくては」など肯定しすぎるとそういう気持ちになってしまい絶対に家に帰ろうとしてしまい収拾がつかなくなります。
まずは相手の気持ちを聞くことから始めましょう。それにより今まで知らなかった生活歴を知ることが出来るかもしれません。次のページでは夕暮れ症候群の実例を紹介します。
子供の事が気になるAさんへの対応
特別養護老人ホームに入居されているAさんは認知症で5年前からこちらで生活されています。殆どの動作は自分で出来ますが時折同じことを繰り返したり認知症特有の行動をされることはありますが軽度に分類される方です。
そんなAさんですが夕暮れ時になると昔を思い出すのか「息子の部活が終わるころだ迎えに行かなくては」と言われます。
「それではこの辺で息子の事が心配なので帰ります」と言い帰ろうとします。もちろん玄関は鍵が掛かっていますので外に出られます。それでも何とかして外に出ようと焦りだします。最初の頃はそのまま様子を見ていましたが出れないと分かると「監禁されている助けてー」と大声で叫ばれます。そのため迅速な対応が必要になります。
Aさんの場合は「家まで遠いので車で送りますね、準備できたら呼ぶので待っていてくださいね」「もう夕食を用意してしまったので食べてから行かれませんか?」など時間や行動を挟むことで家に帰ろうとする気持ちを忘れてしまったり気にならなくなります。
まとめ
夕暮れ症候群の対応についての正解はありません。夕日を見てどんなことを思うのかはその人によって異なるからです。こちらでは子供や家族に視点をおいて考えましたがそれ以外と言う場合もあります。
そうなったときの為に様々な声掛けを調べて迅速に返答できるようにしましょう。夕暮れ症候群は難しい名前でありますが病気でもなんでもありません。難しいように考える必要は無く誰しもが思ってしまう事です。結構な頻度で訪れるので難しく考えないようにしましょう。
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