彩雲国物語には、名前の後に姫と付く女性が大勢登場します。黎深の妻で絳攸の母でもある百合姫や、秀麗と性格も雰囲気も良く似ている藍家の美少女、十三姫もそうです。彼女たち其々には色々な事情も含まれていますが、特に秀麗の母である薔薇姫は、最初から複雑な事情を抱えていました。
結果的に短いですが幸せな生活を送れるのですが、自分の子供を救うためにあることをして生きながらえさせます。それは彩雲国物語の物語の中心となる重大な鍵で、これをしなければ秀麗は劉輝と結婚出来なかったんじゃないかなと思います。その秘密について、今回は解説していきます。
秀麗の母、薔薇姫とは?
薔薇姫は、彩雲国物語の主人公・秀麗の母親です。彩八仙の仙人の一人、紅仙でもある彼女には高い治癒力があり、それが原因で縹家に幽閉されていました。そこに彼女を殺そうと、当時黒狼という殺人集団の長だった後の秀麗の父・邵可が来ます。
邵可は美しい薔薇姫に一目惚れをし、縹家から奪い去りました。以降、彼はずっと薔薇姫に求婚し続け、最初は断っていた薔薇姫も、最終的には受け入れて、晴れて夫婦となりました。そして子供が出来ないと言われていた薔薇姫ですが、奇跡的に秀麗が生まれます。
幼い頃病弱だった秀麗の為に、効き目抜群の薬湯をつくっては爆発させたりと一騒動になるため、静蘭に怒られていました。当時は元気でしたが、まだ幼い秀麗が当時かかっていた病気の回復と入れ替わるかのように亡くなり、後に秀麗は自分の代わりに母が死んだのだ、と長い期間自分を責め続けていました。
実は薔薇姫、秀麗が病弱だった頃には特殊能力は無くなっていましたが、苦しみ亡くなる寸前の秀麗を助けようと、彼女の体の中に仙の力を利用して入り込み、健康体になるようにしました。
愛する子を命と引き換えに救った母、薔薇姫
そして秀麗が元気になる代わりに、仙としては彼女の中にありつつも、人間としての薔薇姫は亡くなったのです。このことが原因で秀麗自身も不妊症で子供が産めないと宣言され、「誰とも結婚せず子供も産まない」と邵可に泣きつきますが、彼女も薔薇姫同様、劉輝と結婚し、自分が亡くなる代わりのように女の子を産み、その子は70歳程度まで生きたとされています。
薔薇姫の素性を知るものは極僅かで、邵可は弟たちにも彼女の正体を告げていません。邵可の妻として生きていた頃、彼女は薔薇姫でなく「紅薔君」と名付けられ生活していました。この名前だけでなく、邵可だけしか知りえない特別な名前もあるそうです。
因みに薔薇姫、雷光のような鋭い眼差しとぬばたまの髪を持つかなりの美人ですが、性格は短気で誇り高かったそう。邵可だけでなく、縹家の当主の璃桜も彼女に一目惚れをして愛した1人で、ひたすら薔薇姫だけを想い続けて彼女が来るのを待っているという、とんだ歪んだ純愛の持ち主です。
薔薇姫に執着した男たちの皮肉
また、通常八仙は死体に宿るものですが、薔薇姫は縹家の暗殺者を傀儡とした生体に宿っていました。これは、薔薇姫に命を救われて以降、その副作用として強力な癒しの異能を手に入れて、縹家の権力をより強固なものにし、異能の枯渇を防ぐために薔薇姫を幽閉した縹家前当主と、彼女を愛し執着した璃桜による策略です。
しかし、薔薇姫が生体に宿ることにより邵可と会い、夫婦となり人として秀麗を儲けて可愛い子供のため、身を賭して生きながらえさせたことになったのです。少なくとも薔薇姫自身は短い間でも愛しい人に囲まれて幸せ一杯でしたでしょうが、結果的に薔薇姫自身を失うことに繋げることとなった縹家前当主と璃桜にとっては、非常に皮肉な結果だったでしょう。
まとめ
今回は彩雲国物語の主人公である紅秀麗の母親、薔薇姫の秘密や夫である邵可との出会いや、子を救う為に命と引き換えに秀麗を助けたことなどを語ってきました。ここでそれらを簡単にまとめたいと思います。
①薔薇姫は秀麗の母で彩八仙の紅仙。
②薔薇姫と同じく不妊症だと言われた秀麗だが、彼女と同じく女の子を授かり、30歳で亡くなった。
③薔薇姫に執着して生体に宿らせたが、結果として彼女を失う手助けをしたという、皮肉な結果が縹家前当主と璃桜に待っていた。
秀麗の母にして彩八仙、しかも自分の力を使ってまで秀麗を救った薔薇姫。彼女は幽閉されるまでは人と距離を開けて生活していたようですが、結果的には邵可と夫婦となりました。
今まであまり関わりが無かった人間に口説かれ続けていた彼女は、最後はどういう気持ちの中で死んでいったのでしょうか。自分の仙で秀麗が生きてくれるなら、どうなっても構わないと思ったのでしょうか。薔薇には棘がありますが、邵可や愛する人たちと暮らした日々の中では、彼女にはとげが無く、美しい薔薇だけを咲きほこらせていたことでしょう。
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