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2008年に短編集『人魚は空に還る』でデビュー以降、年に1、2作程のペースで新作を世に出してきた作家・三木笙子。その新たな作品が、2月22日に講談社タイガより発売された『赤レンガの御庭番(エージェント)』です。

明治時代の横濱を舞台に、美形の探偵とその年下の助手、そして謎多き美青年・ミツ。彼等の周りで繰り広げられる事件を4編収録した短編連作集で、発売されるやいなや人気が出て重版となり、3月26日には3刷目が為された程の注目作品です。

本日は、この『赤レンガの御庭番』のあらすじや特徴といった詳細について、徹底解説していきます。

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『赤レンガの御庭番』の気になるストーリー!

『赤レンガの御庭番』の主人公は、将軍直属の情報機関、「お庭番」を勤めていた家で育った超美形の探偵、入江明彦です。明彦はその美貌と類いまれなる頭脳の持ち主ですが、完璧すぎる故に友人と呼べる存在が1人もいません。

横濱に事務所を構えた明彦は、ある時美しい女性を助けます。それと同時期に、明彦は謎めいた美青年・ミツと出会い、それにより必然的に美女が牛耳る犯罪コンサルト組織『灯台』と対峙していくことになります。

明彦には乳母の息子・文弥という少年がおり、彼が明彦の世話役であり、また助手役です。彼も探偵事務所の一員となり、ともに事件を追います。乳母の息子なので、乳母から明彦のことについてとことん言い聞かされているからか、まるで親のように甲斐甲斐しく世話を焼き、明彦に友達が出来たと知ると本当に嬉しそうにします。

あらすじ自体はありきたりかもしれませんが、巨大な犯罪組織と対峙していく、というのには短編連作集というのもあり、コナン・ドイルもシャーロック・ホームズを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実質、帯や本作品の誘い文句には「シャーロック・ホームズ」という単語が出てきます。

三木作品の傾向と、今作との異なる点

この作品というか、三木笙子の作品全体の特徴ですが、主人公や相棒には美青年がおり、そして助手役ととても仲の良いというか、親愛と友情を交えた関係になっていることが多いです。ほぼ全部がそうです。

親愛と言いますか、見る人が見たらBLには届かないものの、一種のブロマンスには見えます。そんな作品が多く、これもその例には漏れていないようですが、いつもと少し違うのが、明彦とミツは、最初からそのような信頼の置ける関係ではない、ということです。

『帝都探偵絵画』シリーズやその他の作品でも、何やかんや言いながらお互い信頼の置ける友として事件解決に乗り出していますが、この作品では第1話で明彦がミツに「友達になってくれ」と頼んだのであって、最初から信頼100%ではないのです。

ミツ自身も謎が多い分、警戒心がありますし、明彦は初めての友達ということで凄く嬉しそうですが、やっぱりどこか特にミツが余所余所しいというか、信頼しきれていないところが見受けられます。それも後半に連れて無くなっていくようですが、そこら辺がいつもの三木作品とは異なる点ですね。

1作品に1人は美形がいる三木笙子の世界!

明治時代という時代背景は『帝都探偵絵画』シリーズと同じであり、三木笙子自身の鉄板といいますか、得意分野のようで自然と馴染んでいきます。加えて明彦は洋行帰りのようで、それも横濱と相性が良く、余計に明彦の美形具合を増幅させています。

『帝都探偵絵画』シリーズも、『決壊石奇譚―百年の記憶―』も、『金木犀24区』でもそうですが、大体は2人でバディを組んで事件を解決していくのですが、今作ではそれがちょっと違い、明彦とミツ、そして文弥の3人が中心なのです。3人で事件を究明していくのが、常に2人だった三木作品とは毛色がちょっと異なっています。

あとは、バディ2人がどちらも美青年というのも変わってますね。別に容姿端麗じゃないとか言ってるわけでなく、文中でどちらも容姿が良いような指摘があるのは、本作だけなんじゃないでしょうか。

加えて本作は短編連作集であり、シリーズ物ではなく、事件の発端から「灯台」のボスとの対峙までがこれ1冊で網羅でき、サクサクと読み進めることが出来ます。先程言ったいつもとの違いとこのサクサク読書が初めての人にも受け、発売数か月で3刷目突入という、話題作になったのでしょうか。

まとめ 

今回は三木笙子の新作『赤レンガの御庭番』のストーリーや特徴や、他の三木作品との違いなどを語ってきました。ここで書いてきたことをまとめます。

①『赤レンガの御庭番』は、明治時代の横濱を舞台に犯罪コンサルト組織と対峙する2人の青年の姿を描いた推理小説。

②ブロマンス的で最初から信頼度100%の関係が多い中で、本作はお互いが歩み寄ろうとするところから始まるちょっと変わった作品。

③短編連作集ということと得意の明治時代ということが、話題作にまでなった理由の1つ。

本作もですが、何度か言っているように、三木作品は短編連作集が多いので、初めて手に取る、目にする人にも読み易いです。書店やネットストアで見かけた際は、是非とも手に取ったりあらすじを見てみてくださいね!

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