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最近小説でも異世界転生モノなど、妙に長いタイトルの作品が流行っていますが、それ以前からギャグのセンスが卓越している作品があります。それが、今回解説する『春日坂高校漫画研究部』シリーズです。

平成25年に1号が発売され、ギャグセンスと面白さ、胸キュンとイラストの豪華さに魅せられ、購入する人が増えています。

そこでこの作品の1読者でもある私が、1号から3号までの、其々のネタバレを含めた感想を解説していきたいと思います。

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記念すべきシリーズ第1号『弱小文化部に幸あれ!』

あずまの章のよる小説、『春日坂高校漫画研究部』第1号「弱小文化部に幸あれ!」は、平成25年の12月に発売されました。現在ニコニコ動画発で映画にもなった「honeyworks」でも活躍されているイラストレーター、ヤマコさんが挿画を担当されたことでも話題になりました。

このシリーズの主人公は、3人兄妹の真ん中で漫画研究部に所属する高校2年生、吉村里穂子です。恋やお洒落にはてんで無関心で、漫画を読む・描くことやアニメを観ることが大好きなオタクな彼女ですが、ひょんなことからクラスのイケメン男子、岩迫君と知り合うことになり、インドアな日々が一転、友情や恋に翻弄されていきます。

イケメンは岩迫君だけでなく、里穂子の兄・翔太は違う高校に通っていますが、里穂子に対してちょっと行き過ぎた感じのする気遣いを密かに見せる、隠れシスコンで、その友達でチャラ男の神谷蛍太もモテるイケメンで、里穂子の後輩で漫研所属のKY男子、五味貴志もBL好きのイケメンです。

1号ではあまり恋の進展はありませんが、代わりに中盤から部活存続の危機に陥ります。文化部故の苦悩や狡さといった部分も書かれ、存続の為の投票はどうなるのか、という展開になっていきます。

第1号の特に面白いシーンをネタバレ!

里穂子達は放送部などの文化部、次いでバスケット部といった運動部に投票のお願いをしていくのですが、本作での個人的なお気に入りシーンは、放送部に赴いて説得するところです。存続を訴えるも、辞めるつもりだった、というドライな対応をする放送部部員に、里穂子は「もっと熱くなれよおお!」という修造ばりの喝を入れます。

そして家に帰らさないために、里穂子は合コンに例えながら話を展開させ、最後には「好きだから誰に何を言われようと手放さず、抱え込んで意地でも続けるべき」と言いますが、興奮しすぎて最後には「あんたが辞めたら誰が私のアニソンを流してくれんだよ!」と本音を暴露してしまいます。

それに今まで唖然としていた放送部部員が声を上げて笑い出し、遂には部室にいる全員が笑い出します。そしてひとしきり笑って満足し、放送部は存続に協力することを約束したのでした。

ネットにあるネタバレの所にも書かれていますが、この場面が印象的で特に面白かった、と言う声が多いです。作家のギャグセンスが特に光っている場面でもありました。

最終的には他の部活からの協力もあり、無事に文化部は存続します。少し喧嘩のような雰囲気だった岩迫君とも仲直りできる一歩手前で終わるので、一応は一件落着で本作は終了しています。

兄妹3人の触れ合いも見られる2号『夏は短しハジケヨ乙女!』

第1号は友情や人物紹介などがメインでしたが、里穂子を中心に、恋愛模様や兄からのシスコンっぷりが垣間見えるのが、第2号『夏は短しハジケヨ乙女!』です。タイトル通り、夏休み中のコミケやプールデート?部活仲間とのお泊り会、神谷との美術館デートの模様などが描かれています。

恋模様もですが、前巻では仲の良くない感じに書かれていた妹・花菜子との姉妹らしいお出掛けエピソードも書かれています。里穂子は終始、お洒落なカナに振り回されているようにも見えますが。

前巻では「オタク気持ち悪い」という風に、里穂子を蔑んでいたカナですが、同級生でオタクの二ツ木くんに近づくため、里穂子にゲームやオタクの好きな情報を教えてもらおうと頑張ろうとするなど、芯は優しくて頑張り屋で共感できる風にも描かれています。

隠れシスコンのように書かれていた兄の翔太ですが、後半で里穂子達を攫って、里穂子に怪我を負わせた村瀬を守ろうと本気を出すなど、家族を大事にする場面も描かれています。夜にコンビニに行こうとする里穂子に、危ないから付いていく、と言おうとするも言えずに終わるシーンも面白いです。

2号では恋模様も動き出します!

恋模様ですが、オタクゆえに里穂子が恋愛に鈍くて岩迫君の真意に気付けないのか、それとも友達のままがいいから、わざと気付いていないふりをしているのか…。「水着だけじゃなくて吉村も可愛い」と岩迫君に言われて、里穂子がどもるシーンは微笑ましいです。

しかし、プールで眼鏡がないからこれくらい近づかないと分からない、と言って岩迫君の顔に結構顔を近づける場面ですが、里穂子が岩迫君をどぎまぎさせようと計算してる、とかクラス内で思う人もいそうですね。

そのプールに着て行った水着ですが、神谷が選んだショートパンツとキャミソールがセットになった可愛いデザインですが、里穂子の友達曰く「好みを推しつつ男の願望を混ぜた感じ」だそうで、神谷から里穂子への独占欲が垣間見えるところでもあります。

そんな神谷とも、美術館でデートする流れになります。初っ端から30分遅れで待ち合わせ場所に来る神谷に、里穂子は終始振り回され気味です。因みに里穂子は約束の時間きっちりに来ていました。

しかし別行動しようと誘う里穂子に一緒に来た意味が無いと言ったり、神谷の奢りのレストランでがっつりセットを食べる里穂子に「ズレまくってる」と言いながら面白そうに見ていたり、家まで送って「水着姿が見たい」と遠回しに言っても分からない里穂子に苛立ったり、彼女のことを異性として意識していると思われる場面が幾つも出てきます。

第3号は後輩・五味の友情話から始まります!

2号から1年後の、平成27年に発売された第3号『井の中のオタク、恋を知らず!』は、タイトル通りに里穂子と岩迫くん、そして神谷との恋の行方が少しづつ動き出す内容になっています。

2号から時が経った秋くらいの頃、体育祭や文化祭といった行事が、立て続けに催される時期がメインです。そのような行事だけでなく、神谷とのプレゼントを選ぶデートや脇役だった鰐淵先生とのランチ交換など、プチイベントも書かれています。

初っ端から恋愛イベント模様が描かれている訳でなく、意外なことに、後輩の五味と友達との仲違いから始まります。いつもは教室でお弁当を食べている筈の五味が、立て続けに里穂子のクラスで一緒に食べ始めます。おかしいな、と思った里穂子は部室に1人でいるゴミに会います。

テニス部をサボった、という五味にいじめ問題だと誤解して先生に言おうとしますが、五味がそれを止めます。五味曰く、アニメ好きでぽっちゃりな友達が、イケメンな五味と一緒にいると惨めだとか、他人から見られたり不釣り合いと言われるから喧嘩したようでした。

里穂子も真ん中だけ地味、とか言われてきたのでその子の気持ちがよく分かりますが、「どうして自分は可愛い顔で生まれてこなかったんだろう、とは思うけど相手がブスに生まれてこなかったんだ、とは思わない」と五味に言い、仲直りしに行けと助言します。

遂に岩迫くんから告白されます!

結果として、五味は友達に泣きながら「大好きな友達だから一緒にいたいけど、本当に嫌がっているならもう話しかけない」と語り、実はテニス部まで五味を探しに行っていた友達と、無事に仲直りが成功します。

因みに仲直りより少し前、五味がどうしてイケメンに生まれて普通の顔で生まれてこなかったのかと愚痴って、里穂子が「砂利で顔を洗えばいいぞ」と言うシーンあるのですが、個人的にそこが本作で1番好きなところです。

里穂子は体育祭での部活対抗リレーでベル薔薇のコスプレをしたり、二人三脚で岩迫くんとペアになり、頑張って走るも鉢巻が切れてしまい、そのままお姫様抱っこされたりします。更には借り物競争でも、おさげ頭の眼鏡女子を探していた五味に2度目のお姫様抱っこをされ、あだ名がクソビッチにならないか怯えたりします。

恋愛が大きく動くのは文化祭で、岩迫くんに好きだと告白されたり、神谷にキスされそうになったりします。結果としては誰とも付き合いませんが、逆に「手強いのはわかったから、これからじっくり攻略していく」と言われてしまします。

やっと岩迫君が告白するに至った本作ですが、やはり里穂子が恋に対して臆病でする必要があるのか、と悩んでいるのが分かります。次巻の4号でどのように展開されていくのが見ものですね。

まとめ 

ここまであずまの章による小説シリーズ「春日坂高校漫画研究部」の第3号までの各巻の感想とネタバレを語ってきましたが、ここで内容を簡単に6つにまとめましょう。

①第1号は恋模様よりも部活存続を懸けた投票と、友情についてがメイン。

②個人的なおすすめは、放送部に投票のお願いをしに行き、里穂子の失言で笑わせて協力を得る、腹筋崩壊シーン。

③第2号からは少しづつ恋模様が動きつつ、兄妹との触れ合いが描かれている。

④2号では岩迫くんとのプールデートや、神谷との美術館デートとった恋愛イベントも盛りだくさん。

⑤代3号は恋愛1色と思いきや、五味と友達との仲直りから始まる。

⑥終盤では岩迫くんから里穂子が告白され、断るも「じっくり攻略していく」と宣戦布告されて終わる。

このシリーズの見所は、恋愛だけでなく、里穂子のギャグの入った絶妙の言い回しと、それを書いた作者の筆の上手さにあります。

内容が面白そうだと思って手にした私ですが、1、2位を争うくらい気に入り、多分10回くらいは読み返したんじゃないか、と思うくらい好きな作品になっています。それくらい面白いです。

因みに現在4巻まで発売していますが、めでたく20万部を突破したらしいので、ギャグと胸キュンが好きな方、1度読んでみては如何でしょう?

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