漫画や小説では、「〇年越しの新刊!」という風な表記がよくされていますが、この記事で紹介する『春日坂高校漫画研究部第4号、恋愛オンチは悪魔と踊る!』も、まさに4年ぶりの新刊です。
4年と言えども主人公たちの年齢は変わっておらず、悲しきかな、読者の年齢だけが無常にも過ぎ去っていきます。加えて、里穂子が恋愛に対して臆病な所も変わっていません。
そんな変わらない本作を、盛大なネタバレと感想を含め、気になる内容を順に紹介していきます。
Contents
4年ぶりの最新刊、『恋愛オンチは悪魔と踊る!』
前巻の3号から4年経った本年の5月、『春日坂高校漫画研究部』4号の『恋愛オンチは悪魔と踊る!』が遂に発売されました。カラーイラストと挿絵をヤマコさんが描かれていましたが、今作から挿絵は漫画家の島陰涙亜さんが描かれています。漫画版の春日坂高校漫画研究部を描いた人です。
更に言うと、4年と言うことからか、ヤマコさんのカラーイラストの描き方も、若干進化したように見受けられます。こう、服や頭の陰の部分とかが艶っぽくなっているような感じがします。
このシリーズは、素人でもオンライン上で小説が投稿できるサイト「小説家になろう」で、掲載されている話に加筆修正をされたものが発売されているのですが、今作でもタモツ絡みのところがオンラインから、そして序盤の修学旅行と終盤の神谷関連の話などが、主な書き下ろしになっています。
また、作者のツイッターにも書いていますが、今年の5月で令和になりましたが作品内の表記は平成のままと、若干の懐かしさと二次元との境を感じる場面がちらほらあります。
見た目は金髪碧眼の天使、中身は悪魔!
本作の号では、タイトルの「悪魔と踊る!」とあるように、悪魔的な位置にある新キャラクターが登場します。名前はタモツで、見た目は金髪碧眼で可愛らしい顔立ちの天使ですが、中身は里穂子の兄・ショータに心酔している下僕であり、それが目当てで里穂子に近づき、デートに誘います。
デートではタモツの本性が露わになり、「先輩の妹でなきゃお前のようなブスに声は掛けない」と言われ、激昂した里穂子は「こんなブスでも好きになってくれる男子はいる、今日あったのはその子とのデートの予行演習だ」と言い殴ります。ここでちょっとスカッとします。
そして、里穂子はブスでも誰にも迷惑かけてないから、私の人生邪魔すんな!と言い走り去ります。土壇場で力を振り絞るのは里穂子らしいですが、殴った手が痛み、漫画を描けない、思い出すと恐くてあまり寝付けない日が続きます。
更にはその後、里穂子と岩迫くんとのデートにも乱入して、逆ナンした女の子達をブスと言って蔑んだり、リホコと呼んで当の本人に鳥肌立たせたり、誰かからの指示で岩迫くんとくっつけないようにしてるとか言い、場を引っ掻き回して帰って行きます。はた迷惑ですね。
主人公の周囲の人間の恋愛模様も見られます!
本作では里穂子の恋だけでなく、周りの人の恋愛関係も描かれています。序盤から始まる修学旅行では、里穂子の友人・ちよちゃんが、岩迫くんに若干片思いしていたことが後で分かり、そこに至るまでずっと里穂子と喋らず、沈黙を守っていたことが分かります。
自分の好きな人に意中の相手がいて、なのにその子は、彼に好かれていることを知りつつも知らない振りをしている。傍から見れば贅沢だし腹が立ちますよね、彼のことが好きな人から見たら尚更です。ちよちゃんは、それで里穂子に冷たくしていたのです。
ちよちゃんだけでなく、里穂子の親友・キタちゃんも好きな人がいたことが判明します。中学の時に、通っていた道場の20代の門下生に恋をしていたのです。結局告白まではしていないようですが、「好きな人を思い浮かべただけでダンベルの新記録を出せるとは思わなかった」としています。恋の力は恐ろしいですね。
本領発揮、神谷との濃密恋愛エピソード!?
この号を通して、神谷の出番はないのかな?と思ったりしましたがそんなことはなく、彼は終盤にとんでもない爆弾を里穂子に投下していきます。進路票を貰い憂鬱になった里穂子は、帰りにスーツを着て髪を後ろに束ねた神谷に会います。
ファミレスで食事をすることになり、神谷が就職をすることを知ります。更に、神谷が中学生の頃に古生物学者の夢を諦めた、ということを知って驚きと同時に、自分の夢の漫画家ということを考えていきます
そしてもう1つの逃げ道として結婚しないか、という口説き文句を退けたものの、「誰かを好きになったことがないのに気持ちを否定するのか」と言われ、里穂子は泣きだす寸前になります。
焦る神谷に、「誰かを好きにならなくても学者にだってなれる、恋愛なんてなんぼのもんじゃい」と言います。更に口説いてくる神谷に、里穂子は真面目に断ります。彼女の振り方はキタちゃん曰く、素人が格闘技で、相手を完膚なきまでに叩きのめすようなものらしいです、むごい。
神谷はめげずに、ファミレスから出るとスーツを着こなし、里穂子の両手を取って「好きだから君に見合う男になるまで待っていてほしい」と告げ、された側の本人は顔に集まる熱を感じながら倒れかけ、神谷に支えられながら瞼を閉じていく、という所で本編が終了します。
まとめ
4年ぶりに発売された『春日坂高校漫画研究部』の最新作第4号の内容を、これでもかと言うくらいのネタバレ満載でお届けしてまいりましたが、ここら辺で要点を簡単に4つにまとめていきたいと思います。
①第4号『恋愛オンチは悪魔と踊る!』は、口絵イラストの作者が変わり、カバーイラストの雰囲気が若干変わるなど、時の流れを感じさせる。
②新キャラの美青年中身悪魔が登場し、里穂子の周りの恋愛関係を引っ掻き回していく。
③今作では岩迫くんを好きだったちよちゃんや、キタちゃんの恋愛模様も語られている。
④書き下ろしで終盤、神谷は里穂子と読者にメガトン級の爆弾を投下していく。
個人的には、本作の流れは大体ネットに公開されている文章から予想していましたが、書き下ろし部分がこんな風になるとは、予想外でした。神谷がこんな風に真面目に告白するとは…。
本作が発売されるまで4年ですが、その間に他の作品を3冊発表するなど、作家生活を送っている作者さんですが、気になるのは次巻の発売ですね。ネット上では、次巻発売でちょうどストックが切れるかな?という感じなので、すぐに発売されるのか、それともストックを溜めてから発売するのか、そこら辺が読者の気になる所です。
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