角川書店から発売されている漫画『八犬伝―東方八犬異聞―』は、現在18巻まで刊行されている、大人気シリーズです。曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』をモチーフにし、登場人物の名前も同じになっています。
特に馬琴の方の八犬伝と同じく、主人公の名前は「犬塚信乃」で、モチーフ先と同じく、「村雨」という妖刀の所有者です。他にも「浜路」や「犬川壮介」といった、八犬伝ではお馴染みのキャラクターも出てきます。
名前こそ同じですが、性格や容姿は勿論全く違います。今回は『八犬伝―東方八犬異聞―』の物語を彩る、個性あふれるキャラクター達を紹介していきたいと思います。
物語の主人公、犬塚信乃は超我儘!?
先程も書きましたが、モチーフ元の『南総里見八犬伝』と同じく、『八犬伝―東方八犬異聞―』の主人公は犬塚信乃です。モチーフ元では作品きっての苦労人とか言われていますが、漫画の方ではそうではありません。子どもの頃から病弱で、強くなれるようにという昔の風習から、13歳まで女物の着物を着せられていました。
大塚村が疫病の蔓延により焼き尽くされた事件の生き残りの1人で、その事件で死にかけたものの、居合わせた里見莉芳により村雨を身に宿して生き残るかを選ばされ、それ以降は村雨の影響で13歳のまま姿かたちが変わらず、年齢も重ねていません。
そんな経歴があるから、さぞかし奥ゆかしい大人しい性格かと思いきや、全くそうではなく結構な我儘で横柄で、しかし女子供を大切にするという、自分に正直な子供です。他の登場人物もそうですが、信乃もその例に漏れず顔が大変整っており、女装していた頃はまさに美少女でした。
その信乃と同じく、大塚村事件の生き残りで教会に保護されたのが、犬川壮介です。信乃の幼馴染みの1人で八犬士でもありますが、容姿端麗で物腰が柔らかいことから、帝都に来る前から村の女子に好かれていたようです。
口調も丁寧で性格も当たり障りなく穏やかそうですが、実際は信乃が大切で、信乃の為なら何にでも冷徹になれるような、ある種割り切りすぎているというか、何処か達観している性質の持ち主です。
信乃の幼馴染み、浜路とは!?
大塚村事件の生き残りで、信乃のもう1人の幼馴染みが「浜路」です。珍しい赤毛を持つ可愛らしい女の子ですが、1巻で帝都に攫われた先でもスコーンや紅茶、洋服に靴の注文までして狐たちを動かすという、結構何事にも物怖じしない芯の強い子です。
薬物などに精通し、興味もあることから、よく薬草をブレンドしてお茶やカレーをつくっていますが、匂いと味はドギツく人が飲める・食べるものじゃないと信乃は言っています。特に薬膳カレーは、鼻がひん曲がるくらいに臭うらしいです。
ですが、信乃の呪いや身体のことを気にして、将来は医者になることを志し、それを胸に学校に入学するという、心優しい女の子でもあります。
そして、帝都の教会本部に重宝されている四家の犬神憑きでもあり、物語の中心となる玉探しを信乃に命じるのが、里見莉芳です。多分登場人物の中で1、2を争うくらい綺麗な顔をしているし、犬神の八房も顔重視で莉芳を選んだんじゃないかとか囁かれてます。
常に冷静沈着で顔色変えない人ですが、信乃の扱いには慣れていて、また結構信乃を甘やかしてます。漫画で描かれている、断片的な信乃の記憶と莉芳の回想と浜路の発言から、莉芳と信乃は兄弟関係にあると思われます。信乃と手を繋いでたのも莉芳ですね。
八犬士の内の4人のキャラクターを紹介!
玉を持つ八犬士の1人が犬飼現八です。帝都を守る憲兵隊の隊長の1人で、由緒正しいお家柄と堅物でクールな仕事ぶりが、顔つきも相まって帝都の女性たちに人気ですが、信乃と出会うことによりその気があるような言動を繰り返しています。
現八の弟分であり、八犬士の1人が犬田小文吾です。面倒見が良く気の良い格で、現八に劣らずも顔が整っているので女性に人気がありそうですが、小早川るり嬢に出会うまで女性の方とは縁の遠い存在でした。
犬坂毛野も、八犬士の1人です。旦野(あさけの)という名前で楽師として各地を回っていますが、共にいる九重・夜叉姫の心臓を貰うことにより生きながらえた過去を持っています。信乃と似たような荒い性格ですが、九重には頭が上がらないのか、よく怒られています。
人形師の犬村大角も八犬士の1人です。整ってはいるものの、厳つい容姿とあまり口を開かない様子から怖く見られることが多いですが、妹想いで猫や動物の人形を彫ることが得意な、心優しい人です。
八犬士の最後の2人について!
あと2人の八犬士の内の1人が犬山道節です。薬学に秀でている家柄で、帝都で薬屋を営むことになります。実は浜路の実の兄で、彼女にいつか迎えに行くという約束をしていました。憑いている雪姫が嫉妬するため、女性にモテるはずがてんで縁のない生活を送らざるを得なくなっています。
最後の八犬士、犬江仁(しのぶ)は、天狗により神隠しに遭い攫われた過去を持ちます。実の母により殺されかけた過去を持ち、それが所以で天狗により育てられました。人間の世界に戻ってからは祖母に育てられました。
人間の世界に戻ってからも、成長しない子供の姿のままで小学校に通っていましたが、最新刊で力が溢れたことにより、一時信乃と同じく18歳の姿になって現れています。寝て起きたら元の姿に戻ってますが。
性格は八犬士の中では珍しく天真爛漫で、綺麗な女性が好きで腹黒な一面もあるという、ある意味年相応の性格です。同じく子供の姿の信乃と同じ対応をされることが多く、ニコイチ的な扱いを受けることも多々です。
まとめ
今回はあべ美幸による漫画『八犬伝―東方八犬異聞―』の主人公、犬塚信乃と八犬士や重要登場人物について書いてきました。ここで要点を簡単にまとめます。
①『南総里見八犬伝』と同じく、漫画の主人公も犬塚信乃だが、性格は異なり我儘で正直な子供の姿になっている。
②信乃の幼馴染みの浜路は可愛らしくも芯の通った、物怖じしない性格の女の子。
③八犬士の犬飼現八はクールな近衛隊長だが、信乃のこととなるとその一面が消え去る。
④八犬士の犬江仁は、天狗の子として育った経緯から子供のままの姿で、天真爛漫な年相応の性格をしている。
八犬士と幼馴染みや莉芳を中心キャラクター、を紹介してきましたが、八犬伝にはまだまだ魅力的なキャラクターが存在します。壮介の半身の蒼もそうですが、まだまだキャラ一人一人の謎が解き明かされていない部分も多いので、ファンとしても続きを見逃せません!
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