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坂木司による小説、『アンと青春』は、同作者の作品『和菓子のアン』の続編です。6年もの歳月を経て発売された、ファン待望の新作であり、これをもってシリーズかもされるそうで、ファンにとっては嬉しい限りですね。

前作では和菓子屋でバイトするアンちゃんの、忙しくて接客と和菓子の説明にてんてこまいになる様子が書かれていましたが、今作では時間が経って仕事に慣れたアンちゃんが、新たな問題に直面し、ちょっとずつ成長していく姿が書かれています。

そんな続編『アンと青春』の、前作から変わった、変わらない所や、ストーリーの簡単な見所などを紹介していきます。

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前作から成長したアンちゃんに会えます!

『アンと青春』は、前作の『和菓子のアン』より6年後の2016年に刊行されました。前作は、デパ地下内にある和菓子屋が舞台ということもあるのか、かなりの数が売れたようで、その続編の本作品も発売当初から注目され、人気が集まっています。

『和菓子のアン』と同じく、主人公は身長150cm、体重57キロのぽっちゃり女子、梅本杏子(きょうこ)、通称アンちゃんです。はじめは「あんこちゃん」でしたが、「こ」をとって欲しいと抗議になり、モンゴメリの作品『赤毛のアン』から「アン」とされました。

また、アンちゃんは変わらずデパ地下の和菓子屋みつ屋で働き、店長やイケメン系乙女男子の立花さんも健在ですが、本作ではアンちゃんが少しづつ成長していく姿と、立花さんや新たな男性との恋模様?も描かれています。

前作の序盤では高校卒業後、特にやりたい仕事も無いアンちゃんが「食べること」という趣味を活かそうと思って始めた仕事ですが、本作ではこのままバイトでいいのか、というような仕事への一種のプライドも見え隠れしています。

「アンと青春」で描かれる恋模様!?

みつ屋でのアルバイトも2年目に突入し、接客にも馴れた中で自分の将来の事や、良好だった人間関係がちょっと変わり始め、そういった色々なことに悩み始めます。それにはアンちゃんの「私なんか」という、自己肯定巻の低さも関わってなくはないのです。

人間関係の転機となるのが、みつ屋の向かいに出店した焼き菓子店「K」の従業員・柏木さんです。彼は製菓学校を卒業したものの、アンちゃんと同じく働く意義を見出せず、その所為か2人は意気投合し、頼りにしているようです。

その彼が立花さんの恋のライバルとなり、文字通りアンちゃんを巡っての「青春」を繰り広げるわけです。柏木さんは外見は気が弱そうですが、アンちゃんを食事に誘うなど、積極的な行動に出ています。

対して立花さんの方は、視点がアンちゃんなのであまり語られてませんが、他の面々には気付かれているらしく、どうやらアンちゃんへの片思いのようです。しかし当の彼女の方は、自分が異性に好意を持たれるわけがない、と鈍感な部分もあり、全く気付いていないようです。

続編で描かれる人の苦さとは?

坂木司のミステリー小説は大体そうですが、「日常に潜む謎」という体で殺伐とした殺人事件のようなことは起こらないです。本作も例に漏れていませんが、恋模様といった「青春」部分が勝ち、ミステリー要素は前作よりも薄まっている感じもします。

また、アンちゃんの周りには優しい人々が多いですが、作中のエピソードの「女子の節句」では、古からの1種の悩みの種の1つにもなっている嫁姑問題を取り上げるなど、人の苦々しい部分もちょっと出てきます。

そして、前作でもおはぎや辻占といった和菓子が沢山出てきて、どれも想像してしまうような美味しそうなものばかりでしたが、今作でも勿論和菓子が登場します。特に生菓子も多く、2月の桃や曲水、5月の花菖蒲、10月の山路など、どれも職人の手で丁寧につくられた、美しい和菓子たちです。

まとめ 

『和菓子のアン』の続編となる『アンと青春』の見所や、前作からの変更点などを書いてきましたが、ここら辺でそれらの概要を簡単にまとめたいと思います。

①前作と変わらずみつ屋で働きながらも、将来や淡い恋が『アンと青春』では書かれている。

②柏木さんと立花さんの、アンちゃんを巡る3角関係も書かれている。

③青春要素が強く、ミステリー要素は薄いが、その分人間の苦々しい部分も描かれている。

アンちゃんはそのぽっちゃりとした外見もですが、考え方や思考、性格も相まってみんなからいつの間にか好かれているような、可愛らしい女の子です。しかし先程も書きましたが、事故固定感の低さから自分の魅力にあまり気付けないでいます。

そんなアンちゃんが、巻数を重ねるごとにどのように成長し、恋をして、自分の自身へと繋げていくのか、今から楽しみになりますね。

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